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プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー (Vol.9)

プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー (Vol.9)

TOPEAK-ERGON RACING TEAM所属のプロ マウンテンアスリート、池田祐樹 選手による製品レビュー【プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー】Vol.9。

今回は、SHIMANO SPDなどのクリート位置決め用ツール「ERGON(エルゴン)」TP1を徹底レビュー!

クリート位置は小さなパーツ調整に見えますが、ペダルを通してパワーをバイクに伝える非常に重要なポイントです。
身体に合わないクリート位置は、違和感だけでなく故障の原因にもなりかねません。

今回は、クリート位置を正しく設定することで、少しでもトラブルやロスを減らし、効率よくパワーを伝えるためのツール「ERGON TP1」をじっくりレビューしてみました。以下、リアルな使用感をお伝えします。


■ なぜクリート位置を“ツール”で精度を上げるのか

長距離ライド/レースでは、手・腕・肩だけでなく、足・膝・股関節にも“わずかなズレ”が蓄積します。特に数日間にわたる超ロングMTBレースでは、クリート位置が数ミリずれているだけで、膝の痛み、踏み込みのロス、疲労の蓄積に直結することがあります


私の場合、かつて受けたバイクフィッティングのデータを基に、自身の感覚と経験を組み合わせて「TP1」でクリート位置を記録しています。
クリートやシューズを新しくする際には、このポジションを基準にセッティングを行うようにしています。


■ ERGON TP1とは?

「ERGON TP1」は、クリートを取り付けた状態で、

  • 前後位置
  • 左右(Qファクター)
  • 回転角度

の3軸を数値的かつ再現可能にセットアップできる専用ツールです。

私自身、シューズを2〜3足用途別に使い分けているため、同じポジションを再現できるのは大きなメリットです。


■ ERGON TP1のメリット

  • 自分だけの「基準値」を可視化できる

→ 母指球・小指球・踵の3軸を明確に把握し、安定したセッティングが可能。

  • 左右のクリート位置を精密に一致させられる

→ ペダリング時の左右差や力のムラを軽減。

  • 新しいシューズやクリート交換時の再現性が高い

→ 最初の設定時間が短縮され、調整までの過程がスムーズ。


■ 注意点・気をつけたいポイント

  • シューズごとの再現性に限界がある

→ ブランドやモデルによってシューズとソール形状が異なるため、完璧な一致は難しい。

  • 対応ペダルを要確認

→ SPD/SPD-SL/LOOKなど対応規格が異なるため、購入前に確認が必要。

  • 実走チェックは必須

→ 数値的には合っていても、感覚的にズレを感じることがある。


■ こんなライダーにおすすめ

  • 新しいシューズ・ペダルを導入したライダー
  • クリート位置の左右差・違和感を感じている方
  • ペダリング時に痛みや疲労を感じる方
  • ロングライド・MTBマラソンレースなど長時間走る方
  • 位置の再現性を重視したい方

クリート位置という見落とされがちな要素ですが、ここをしっかり管理しているかどうかで、長距離ライドやレースの快適さ・パフォーマンスに大きな差が生まれます。
もしペダリング時の痛みや違和感、左右差に悩んでいる場合は、まず「ERGON TP1」でクリート位置を見直すことをおすすめします。


■ セッティングアプローチ

靴を履いた状態で、母指球・小指球・踵の中心位置をマーキングしておく。

1.前後位置の調整

TP1のグリッドスケールを参考に、母指球と小指球を結ぶ線の中央を原点とします。
公式では「回転型なら前寄り、トルク型なら後ろ寄り」とされていますが、私の場合は経験的に母指球のやや後ろが最もパワーを伝えやすい位置でした。

2.左右位置(Qファクター)の調整
Qファクターは狭いほどペダリングのダイレクト感がありますが、体格や骨盤幅、ライディングスタイルで最適値は異なります。

以前は可能な限り狭く設定していた時期もありましたが、クランクアームへの干渉が多く、特にMTBのテクニカルセクションでは足首の可動域が狭く感じました。
現在はクリートをほぼ中央に設定し、安定感と操作性のバランスを取っています。

3.回転角度(クリートの向き)
踵部に貼った中央線を基準に角度を合わせます。私は外反も内反も少ないので真っすぐな向きにセットしていますが、外反が強い方は踵をやや内側に、内反が強い方はやや外側に振ると良いかもしれません。

4.実走テストと微調整
セッティング後は必ず実走でフィーリングを確認します。
シューズの形状やソールの個体差により、TP1の数値と完全に一致しないこともあるため、実走で最終調整を行います。シューズのモデル毎に位置を記録しておくことをお勧めします。


■ エルゴンがこだわる「人とバイクの接点」

ERGON はその名の通り“エルゴノミクス=人間工学”に基づいてデザインされています。
特に グリップ・サドル・ペダル は、ライダーとバイクをつなぐ非常に重要な3つの接点。
この部分のデザインが「人にストレスのない構造」であることは、長時間走るライダーにとって何より大切です。

今回紹介した TP1 も、まさに“足とペダル=人とバイクをつなぐ要”にあたるアイテム。
人間工学の知見をもとにした ERGONの強み がしっかり生きた製品だと感じます。

過去のレビュー記事「ERGONグリップ」「ERGONサドル」も併せてぜひご覧ください。

▶︎ERGON TP1製品ページ

私は「シマノSPD」用のTP1を使用しています。


池田祐樹

プロマウンテンアスリート
TOPEAK ERGON RACING TEAM USA 所属(MTB)
TEAM ALTRA所属(トレイルラン)

2011-2017年の7年間連続で、MTBマラソン世界選手権日本代表として参加。MTBの長距離、耐久レースの国内第一人者とされる。2019年からMTB競技のみならずトレイルランを本格的に始め、2種目のウルトラ競技(100マイルやステージレースなど)をトップレベルで戦う山の総合エンデュランスアスリート「マウンテンアスリート」の第一人者として活動中。

公式インスタグラムアカウント:https://www.instagram.com/yukiikeda/
公式ウェブサイト:https://yukiikeda.net/


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