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FINISH LINE

プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー (Vol.2)

プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー (Vol.2)

TOPEAK-ERGON RACING TEAM所属のプロ マウンテンアスリート、池田祐樹 選手による製品レビュー【プロ目線でリアルインプレ! – 池田祐樹の正直レビュー】Vol.2。

第2回は「FINISH LINE(フィニッシュライン)」の最高峰チェーン潤滑剤「HALO(ヘイロー)」シリーズをレビューしていただきました!

感動レベルのチェーンルーブ。フィニッシュライン「ヘイローウェット」

自転車を始めた当初から愛用してきたケミカルブランド「FINISH LINE(フィニッシュライン)」。その最高峰チェーン潤滑剤として「HALO(ヘイロー)」シリーズが登場しました。

ヘイローのラインナップは、

  • ホットワックス
  • ワックス
  • ウェット

の3タイプ。

中でも、私のお気に入りは「ヘイローウェット」。

長年、レースやトレーニングで使い込んできた同社の高性能潤滑剤「セラミックウェット」には絶大な信頼を寄せており、その性能のおかげで数々の耐久MTBレースで表彰台にも立たせてもらいました。

正直、「セラミックウェットを超える潤滑剤なんて存在するのか?」と半信半疑でしたが、実際にヘイローウェットを使い始めて、その疑いはすぐに吹き飛びました。違いは明らかで、まさに感動レベルのパフォーマンス。衝撃を受けました。

2024年初夏の発売前から数ヶ月にわたり、3タイプすべてをテスト。
その結果、私のライディングスタイルや用途にベストマッチだったのが「ヘイローウェット」でした。

レースシーンやトレーニングなど、日々使ってみた感想を率直に紹介!
使用上の注意点もあるので、参考になれば幸いです。


どんなライダーに向いている?

私のスタイルは、オフロードもオンロードも長距離を乗り込みます。さらに、私はインドアローラーが苦手なため、天候に関係なく基本はアウトドアでトレーニングをしています。

そんな私がチェーン潤滑剤に求めるのは、以下の4条件:

  1. タフであれ
  2. クリーンであれ
  3. 手軽であれ
  4. ペダリングが軽くあれ

セラミックウェットもこの4条件を高水準で満たしていますが、ヘイローウェットはそれをさらに上回る性能を持っています。

3つのヘイローシリーズを項目別でインプレ

1.タフさ(耐久性能)

ウェットは、本降りの雨の中での3時間のライド後でも潤滑剤がしっかり残っていました。ウェットとホットワックスは雨に強く、ワックスは膜が薄い分、若干流されやすい印象。

2.クリーンさ(防汚性能)

通常、チェーン・プーリー・カセットに黒い汚れが溜まりがちですが、ヘイローシリーズはこれがほぼなし。テスト中、あえて10日間洗車しなかった期間でも、触ると指が多少汚れる程度で、“黒い塊”になることもなく、非常に満足しています。

3.手軽さ

MTBでは洗車の頻度が高くなるため、塗布のしやすさは重要。ホットワックスは非常に高性能で長期間効果が持続しますが、毎回の湯煎は若干手間がかかります。ウェットとワックスは洗車後すぐに塗布が可能で、特に私が愛用するウェットは、時間がなくて1回しか塗れていなくても効果をしっかり実感できます。

4.ペダリングの軽さ

3タイプとも従来品に比べてかなり軽快。それぞれ特性が異なるものの、中でも私の好みはやはりウェット。粘度がやや高めなぶん、チェーンノイズを抑えてくれる高い静音性があり、走行中も静かで快適です。とはいえ、粘度が高いからといって“重い”フィーリングは一切なく、ねっとり感もありません。むしろ漕ぎの軽さと滑らかさのバランスが絶妙でした。

一方で、ワックスは膜が薄く、よりダイレクトな“軽さ”を感じられるのが特長。ただし、若干ですが駆動音が発生しやすい印象がありました。好みは分かれる部分ですが、静音性を重視するならやはりウェットが強いと感じます。

使用シーンに合わせた選択もポイントです。

ウェットは、天候や路面状況に左右されず、オンロード・オフロード問わずオールラウンドに使える万能型。

一方、ワックスは晴天時のロードライドやクリーンな舗装路での使用にぴったりな潤滑剤という印象を受けました。

便利すぎる「スマートルーバー」も要チェック!

ヘイローシリーズのボトルヘッドに付属する「スマートルーバー」も、見逃せない便利機能のひとつです。
このスマートルーバーを使えば、余分な潤滑剤が垂れることなく、チェーンに効率よく塗布することが可能。作業中のストレスを大幅に軽減してくれます。

スペアのスポンジがキャップケース内に付属しているのも助かります。

ただし、ひとつ注意点があります。使用後はしっかり“CLOSE”に戻すことをお忘れなく。
“OPEN”のままにしておくと、ボトルが揺れたり、倒れたりした際に、不意に潤滑剤が漏れ出してしまう恐れがあります。
(私はうっかりやらかしました笑)

また、より細かくコントロールして“一コマずつ丁寧に塗りたい”という方は、スマートルーバーを取り外して、従来の潤滑剤のように一滴ずつ塗布することも可能。ライダーのスタイルに合わせて柔軟に使い分けられるのも嬉しいポイントです。

実戦でも効果を実感

2024年に出場した米コロラド州で初開催された375kmにも渡るMTBバイクパッキングレース「メガ・エピック」では、ウェットがまさに勝利の立役者となりました。

標高3,000〜4,000mにも及ぶロッキー山脈を2日間 約49時間かけて走破した、過酷極まりないMTBレース。
初日は夜通し雨とミゾレに打たれ、2日目も激しい雨。気温も大きく下がり、機材へのダメージは避けられないシビアなコンディションでした。

そんな中でも、ウェットは高い潤滑性能と耐久性をキープ。チェーンノイズもなく、トラブルフリーで走りきることができました。

潤滑剤を塗り直したのは、2日目の昼頃の一度だけ。それ以降の雨でも性能は持続し、走行中に一切の不安を感じさせませんでした。

極限状況下でも最後までパフォーマンスを維持してくれたウェットは、このレースを勝ち切るための“見えないアシスト”をしてくれました。優勝を支えてくれた重要な要素だったと断言できます。

ヘイローウェットの性能を最大限に引き出すための使いこなし術

どれだけ高性能な潤滑剤でも、正しく使ってこそ真価を発揮します。ここでは、ウェットを最大限に活かすためのポイントを2つ紹介します。

● 常にクリーンな状態を意識しよう

ウェットは高い耐久性を誇るため、ついケアを後回しにしがちですが、少しでも「汚れてきた」と感じたら、こまめな洗浄を心がけましょう。
しっかりと洗浄、脱脂されたクリーンなチェーンに新しい潤滑剤を塗布することで、滑らかな駆動感と防汚性を長く維持できるうえ、チェーンの寿命を最大限に伸ばすことにもつながります。

● 適量塗布を意識しよう

潤滑剤をつけ過ぎると、走行中に汚れを吸着しやすくなるため注意が必要です。塗布後に余分な潤滑剤が残っている場合は、ウエスなどで軽く拭き取るようにしましょう。
付属のスマートルーバーを使えば、必要な量だけ塗布できるので、つけ過ぎる心配もほぼありません

例外として、雨天時の長距離ライドやレースなどでは、あえて多めに塗布しておくのも有効な選択肢です。

製品情報について詳しは、公式サイトをチェックしてください!

公式製品ページ: https://finishline.jp/prd_cat/lube/

自転車情報ウェブサイト「シクロワイアード.jp」でも、ヘイローシリーズについて詳しくレビューされているので、こちらも参考になると思います。是非ご覧ください。

https://www.cyclowired.jp/news/node/388896


池田祐樹

プロマウンテンアスリート
TOPEAK ERGON RACING TEAM USA 所属(MTB)
TEAM ALTRA所属(トレイルラン)

2011-2017年の7年間連続で、MTBマラソン世界選手権日本代表として参加。MTBの長距離、耐久レースの国内第一人者とされる。2019年からMTB競技のみならずトレイルランを本格的に始め、2種目のウルトラ競技(100マイルやステージレースなど)をトップレベルで戦う山の総合エンデュランスアスリート「マウンテンアスリート」の第一人者として活動中。

公式インスタグラムアカウント:https://www.instagram.com/yukiikeda/
公式ウェブサイト:https://yukiikeda.net/


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